鹿児島の労働市場は酷い。
別に鹿児島の労働市場全体を知っているわけではない。だが一応、私も南九州を代表する大手企業(仮にA社としておこう)に勤める人間である。その私の勤める企業をしてサービス残業あたりまえ、二言目には業績あげろなのだから、他も知れたようなものだ。というか、他よりまともだからここまででかくなれたはずだ。 私の先輩で、同じくサービス残業にあえぐNさんは、何よりも土曜に行われる会議が不満らしい。何一つ具体的なプランを出せず、いたずらに時間を浪費する幹部。幹部の前で思い切った発言ができないヒラ社員連。「そんなことやってる時間があったら、営業の1つでもかけるなり、おとなしく休みを取って翌日からの仕事へ向けて英気を養ってはどうか」と思うが、言えないらしい。 サービス残業の酷さは似たようなものだが、俺の場合は営業所勤務で社長や幹部のツラを見ないで済むだけマシか(笑)。ウチの場合、創業者が社長、奥さんが副社長、長男が内部監査の典型的同族経営。社長・副社長はまさしく「殿」である。全ての会議は、上からの方針を確認するためにある。現場に発言権などない。そして、その方針とはすなわち「業績を上げろ」。業績が下がっていることは確かだが、批判の対象は現場社員だけなのだろうか。 社長一族は「賃貸業」を営む有限会社を経営している。同社は、A社に不動産を貸し、「不動産賃貸料」として1億6千万を受け取っている。鹿児島の一番高い所は、天文館の東千石町で一平方メートル当たり77万、他の市街中心地の上位地点は45~28万後である。 http://www.pref.kagoshima.jp/home/kikakuka/kira/h17tikatyousa.pdf 仮に、A社の一番デカイ建物を賃貸しているとする。あの建物は手持ちのソフトで確認すると、敷地面積24×26=624平方メートル。件の建物は市街地ど真ん中から少し外れているから1平方メートル30万として、土地自体の売買価格が1億8千7百万である。建物は6階建てであるが、いくらなんでも年1億6千万(月1333万)も賃貸料が発生するだろうか?(*1) また、社長一族の営む有限会社はA社の株式の約50%を保有し、従って配当金の半額を得ているはずだから、前年は配当金だけで6千4百万円を得ていることになる。 どこへ行っても同じ事だが、「サービス残業」が横行している。A社もしかり。俺も平均で月25時間くらい残業している。 にもかかわらず、一体、どうなっているのか。社長一族は何もしないで2億4千万を得ているというのに(さらに役員報酬や役員退職金がこれまたすごいうようだが、財務諸表とかの見方はよくわからないのでパス)、俺は月17万で手取りが15万5千。 文字通り身を粉にして働いているのに、本社(社長一族の城とも言う)からは「業績を上げろ」の一点張り。社長一族を切れば、代わりに俺のような契約社員を単純計算で100人くらい、事務管理とか考えても60人くらい雇えるのだが、その最大の無駄は指摘されない。人員が増えれば、ギリギリのところで回している現場は楽になり、労働効率が上がり、従って顧客の満足度も上がり、収益回復するはずなのに。 なぜこんなことが許されるのか? これが竹中平蔵の言う、「能力がありかつ努力を重ねて高所得を得ている人々を讃(ほめたた)える税制」か? 確かに創業者は偉大だ。それは認めよう。多少の高所得はよかろう。だが、このような、労働に依らないやり方で金を得て、俺やその他の従業員に「代わりはいくらでもいる」と人間の尊厳を奪うような発言する権利があるのか? 狂っている。 そして、こんなやり方は、おそらく南九州では普通なのだ。いや、日本全国そうなのかも知れない。世界のトヨタですら同族経営である(*2)。 日本は、依然として封建主義国家である。 --------------------------------------------------------------------------------------------- *1ネットで検索して近隣の物件を検索したところ、より天文館に近い角地が、築10年、六階建ての4~6階が月51万であった。広さは146.46平方メートル。この条件を件の社長物件にあてはめると、月1366万となり、社長物件の方が安いということがわかるが、ネットで検索した不動産物件は管理料込みで、立地条件も社長物件より良いので、もっと圧倒的な差が出てもおかしくない(社長が建物の管理をしているハナシなど聞いたことがない)。年1億2千万くらいが妥当であろう。 *2トヨタの場合、その豊田家にまともな人間が多かったのか、それとも技術畑出身の現場を知る人間が多かったためか、成功を収めているが。まさに、良い意味でも悪い意味でも「名君」である。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF http://www.orihime.ne.jp/~toyo-fre/jiten.html 最も、歴史を見れば分かるように、名君より暴君やアホ君主の方が圧倒的に多く、トヨタが成功しているから同族経営も悪くない式の理論には、「木を見て森を見ない批判である」と答えたい。 「体制権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」 アクトン by g2005 | 2005-10-04 03:10 | 主張
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